株式会社 健栄電気

企業活動

2025.03.06

【注意喚起】水トリー現象の発生について

ここ最近、気温だけを見ると冬↔春を反復横跳びしているように感じますが、
朝・夕のニュースでは卒業式の様子や花粉の飛散量が報じられるなど、
季節は徐々に春に向かっているようです。

ちなみに今年の桜の開花はおおよそ平年並みだそうで、
愛知県の開花日は3月24日、満開日は4月1日となっています。
この日に入社や転勤等で環境がガラリと変わる方も多いかと思いますが、
満開の桜と共に新生活をスタートできると気分もちょっとだけ上がりますよね。

今回のブログは、高圧ケーブル(高圧の電気を通す部材)の劣化が引き起こす
「水トリー現象」に関する注意喚起です。

ここ最近は下水道管の破損に起因した事故が各地で頻発していることもあり
生活インフラのうち下水道管に関しては保守点検や修繕が進められていますが、
実は電気の世界においてもケーブルの劣化に起因した事故が発生しています。
弊社では先月、某社の工場にて水トリー現象が発生したとの依頼をいただき
緊急で工事を行いました。

水トリー現象とは?
一般に自家用電気設備では、高圧の電気を構内に引き込むための高圧ケーブルとして
架橋ポリエチレンケーブル(CVケーブルなど)が使用されています。
この高圧ケーブルの絶縁に使われる架橋ポリエチレンなどに、水と電界の関係で
小さな亀裂が発生し樹枝(tree)状に成長する現象を「水トリー」と呼びます。

「関東電気保安協会ホームページ内「高圧ケーブルの水トリー現象」より引用

どんな問題が起こるの?
水トリー現象が発生すると絶縁性能(電気を外に漏らさない能力)が低下するため、
火災・漏電・感電・機器の故障といった絶縁事故に繋がる可能性があります。
また場合によってはそのケーブルが使用されている設備内だけでなく
周辺地域をも巻き込んだ大規模な停電を発生させることもあります。

水トリー現象が起こる原因は?
劣化した高圧ケーブルに雨水などの水分が浸入することで発生します。
一般的に高圧ケーブルは導入後15年を更新目安としている事業所が多いですが、
経産省によると近畿管内においては更新推奨時期の15年に満たない
比較的製造年の新しいケーブルでも水トリー現象が確認されているようです。

出典:「【注意喚起】更新推奨時期に満たない高圧ケーブルにおける水トリー現象に係る注意喚起」(経済産業省)

発生した事故の大半が地中埋設管路に敷設された高圧ケーブルであるというのも
見落としてはいけない点ですが、「ケーブルの製造から15年以内=水トリー現象が
起こらない」というわけではないことに注意が必要です。

水トリー現象を防ぐには?
・定期的に保守とメンテナンスを行う
・更新時には安全性の高い(絶縁性・耐水性の高い)ケーブルを使用する
などの対応が必要になってきます。
これはどのインフラ設備にも同じことが言えますね。

水トリー現象は思わぬ事故を引き起こす可能性もあります。
高圧ケーブルを使用されている施設の方は、少しでも異変を感じた場合には
早急に担当の電気会社までご相談くださいませ。